梅雨前線北上、「錆」のお話
設計の草野です。
このところお天気が続きますが、早いものでもうすぐ梅雨時期。
金属を扱うわが社では、材料の扱いに気を使う時期を迎えます。
そうです!「錆び」対策。
他社様同様、わが社でも
・鉄材料は被覆物で覆ったり
・加工油を普段よりも多めに塗布したり
・端材でも、鉄材料とステンレス材料を離して保管したり
・加工機周りを入念に清掃したり・・・
と、各部門いろいろと対策をしています。
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ここでうんちく!
ステンレスは「錆びない!」と一般に思われているようですが
そんなことはありません。
錆びにくい?
いえいえ、結構錆びやすいんです。
さらに言うと、すでに表面は酸化しているんです! ご存知でした?
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「錆び」とは「酸化物」が堆積したもの
大気は酸素を含み、その酸素が金属表面の組織と結びつき「錆び」になります。
鉄の錆の場合、酸化還元反応によって電子を失った鉄イオンが剥がれ落ち、酸素と結合した“酸化鉄(時に水酸化鉄)”となって表面に堆積したものを言います。
表面は堆積した「錆び」により凹凸ができ、水分やゴミが付着しやすくなった結果、加速度的に浸食が進みます。
鉄は錆び出したら早いですよね。
自然界ではごく当たり前のことですが、精製された「金属材料」や「製品」としての価値は下がります。
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では、なぜステンレスは錆びにくい?
ステンレスはニッケルやクロムなどを組織内に含んでいる合金です。
そのなかのクロムは、酸素と結合して表面に薄い「酸化皮膜(不動態皮膜)」を形成します。
・・・・あれ?酸化皮膜って??
そうです、クロムによって形成された皮膜はすでに酸化しているんです。
でも、クロムの酸化物は変色が少なく、美しい金属色なので酸化ているようには見えません。
またクロム含有の効果は、傷をつけたりして表面の皮膜をそぎ落とされても、すぐに不動態皮膜を形成し、鉄イオンの酸化を防ぐこと。
つまり、自己修復して、金属内部組織への侵食を防いでいるといったわけです。
優秀です!クロム君!!(^o^)v
(※酸化被膜によって、それ以上の組織酸化を防ぐことを“不動態”と言います。)
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ニッケルの役割は?
クロムだけでは、塩酸や硫酸などの非酸化性の酸への耐食性が弱いため、それを補うために入れられています。
そのほかにも、いろいろな添加物によって強化されたステンレスがたくさんあります。
ご興味のある方はご覧ください↓
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この優秀なステンレスが
「赤錆」を発生する原因は?
「赤錆」の原因のほとんどは、不完全な不動態皮膜形成にあります。
一体どんな時に不動態皮膜形成が阻害されるのでしょう?
1.水中などのように、長時間表面が酸素に触れない状態
2.クロム・ニッケル含有量の不足
3.熱よる溶融などが原因の部分的欠乏や、組織内への不純物混入
4.熱や強酸・アルカリの付着で、侵食速度に皮膜形成が追いつかない
5.錆びたものとの長時間接触(もらい錆びの原因)
6.上記要因の複合
などが挙げられます。
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このことから、家庭でのステンレス用品の錆び対策・お手入れは、水滴などを長時間付着させないこと。
表面全体を空気に触れさせるために清潔に保つことが第一です。
錆が見当たらないからといって放って置かず、汚れや水気は拭き取る!
長持ちの秘訣は、「簡単なお手入れ」ですね。
社内の皆さん、もう一度「錆」対策を確認しましょう!
同業者さんやグループのみなさんには「釈迦に説法」的な内容でしたが、梅雨時期を間近に控え、ご家庭や職場などで「錆」を話題にしてみては如何でしょう?
最後までお読み頂いてありがとうございました。設計の草野でした。(^^)/~